Asahi Pentax MZ-5

(ロハでいただき、自前修理)

1995年11月発売、MZ シリーズの一番手。取扱説明書(pdf)

この子は 2016 年夏頃に譲っていただいたもの。(Sさん感謝) MZ 系の 2大持病、駆動ギアの空回り&ストロボポップアップ故障の両方とも発症していたのだが、割れたギアをラジコンヘリ用のメタルの物(Xtreme Production, Motor Pinion 13T (1.5mm hole, 0.25M) (EA-055-13))に交換して撮影可能に修理した。 またストロボポップアップの故障については、欠けた部品が軍艦部内部に無かったところをみると、既に誰か開けたことがあるようだ。で、ジャンクの MZ-7 をバラしパーツを流用して直した。

外装にテカりもなく非常に美しい個体だったので、あまり使われないまましまい込まれていたもののような気がする。2ドルほどの小さな部品に交換しただけで生き返らせることができてちょっと嬉しい。動かなくなった機械に切なさを感じて直したくなるのですよね。^-^;;

 Pentax_MZ5.jpg

この(↑)写真のピンセットの先辺りにある黒い小さなものが、割れていた駆動ギア。プラのギアなんか使わなきゃ、こんなことにはならなかったろうに。(ぶつぶつ)

当時のゴテゴテ一眼レフの流れに逆らい、ダイヤルによるシンプルな操作系にしたこの MZ シリーズは大ヒットしたのだそうだ。「世界最小・最軽量」をうたっていただけあって、とてもコンパクトで軽い。(その軽さを実現するためにプラを多用しすぎ持病持ちになったと考えると何とも言えないが…この件に関してだけは当時の開発者に文句が言いたいぞ。) ともあれ、この MZ シリーズの大ヒットのおかげで旭光学は持ち直したとも言われているので、この MZ-5 は記念碑的な一台と言えるだろう。(K マウント初号機 K-2 からちょうど 20年後なので、旭光学としても力が入っていたのではないかと想像。だからこそ譲っていただいて直したという側面も。)まぁ、一般的には MZ-5 をリファインした MZ-3 の方が評価は高いようですけど。

データバック機能

この tweet で話題になっていたフィルムカメラの日付写し込み機能について。MZ-5 にもこの日付写し込み機能が付いているのだけれど、じつはこれ 2019年までしか対応していない。(なんたることだ)

少しマニュアルを調べてみたところ、この MZ-5(1995年11月発売)と MZ-10(1996年6月発売)は 2019 年までだけど、その次の MZ-50(1997年5月発売)以降の機種たとえば MZ-3(1997年7月発売)、MZ-7(1999年8月発売)、MZ-S(2001年5月発売)などは 2049 年まで対応しているようだ。これまでバラしてきた経験上、MZ シリーズ間であれば部品の置き換え可能ではないかと思いジャンクの MZ-7 と MZ-5 を比較してみたところ、裏蓋の形状は何の違いもなく全く同じで、裏蓋を丸ごと入れ替えられることが分かった。というわけで、MZ-5 のデータバック機能も(おそらく MZ-50 以降のジャンクがあれば)2049 年まで日付写し込みができるように改造できそうです。

(後日追記)ジャンクの MZ-7 の裏蓋を再度調べてみたところ、なんと MZ-7 のものではなさそうなことが判明。というのも、MZ-7 であれば 2049年までのはずのデータバック機能が 2019 年までしか表示されないのです、はい。どうやら既に誰かがパーツ(もしくは裏蓋丸ごと)を古い機種(MZ-5 or MZ-10)と入れ替えたようだ。まぁ、ジャンクだから文句は言えないんだけどね。

ちなみに、Asahi Pentax ESPIO 120SW II のデータバック機能はなんと! 2100 年まで使えるという 100 年カメラだと判明。すごいね :-)

データバック機能(蛇足)

MZ シリーズ最後の MZ-60 はデータバック機能が「フィルム前面からの写し込み」に変わっているのでドナーにはなれない。取説の「主な仕様」の記述もみても MZ-60 だけ明らかに違うしパーツ互換性は低そう。

MZ-60(2002年11月発売)、*ist(2003年4月発売)の取説には、データバック機能がいつまで使えるかの記述がない。発売年度から考えてみても、100年カメラの可能性があるなぁ。(記述が無い→書く必要がない→100年カメラだろうという推測)