Asahiflex IIB
旭光学工業が1952年5月に発売された日本初の35mm一眼レフカメラ Asahiflex。(2019年、重要科学技術史資料(未来技術遺産)に登録されました!登録資料PDF) その Asahiflex シリーズに、一眼レフの歴史を変えたクイックリターンミラーを初搭載したモデルがこの Asahiflex IIB。1954年発売。まだペンタプリズムは有しておらずウエストレベルファインダーであるが、一眼レフへのクイックリターンミラー搭載はカメラの歴史上のマイルストーン。歴史的なカメラである。
この歴史的なクイックリターンミラー機構は国内では(何やかやあって)実用新案として登録されたらしいが、米国特許 US2931072A(Single lens reflex camera, Filing date:1955-05-05, Inventor:Yoshida Nobuyuki)を取得している。Nikon F のパテント侵害などで裁判沙汰になる大騒動になったらしいが、詳しくは小倉磐夫著「国産カメラ開発物語―カメラ大国を築いた技術者たち」や荒川龍彦著「明るい暗箱」などを参考にされたし。(この泥沼の特許闘争に関しては日本光学に対していろいろ思うところがある。まぁどうみても黒だし。そんなこんなで旭光学ファンとしては手放しで Nikon F を褒める気に決してなれない…自分が生まれる前の話だけれど。) まぁ、今となってはそれもこれも古い話。とにもかくにも、この Asahiflex IIB が一眼レフの歴史を変えたカメラであることは紛れもない事実なのだから。
SPと並べて
そんな話はさておき、、、機構的に非常に興味深いカメラであり、旭光学の一眼レフを語る上で一番にでてくる Asahiflex は、PENTAX フリークとして以前から興味を持っていました。 いろんな古いフィルムカメラたちを入手して(ジャンクは直して)使ってみていますが、50年代から70年代のカメラたちは設計意図を考えながら使うのが楽しくて楽しくてたまりません。(70年代半ばから商業主義がどんどん主立ってきて(技術的に)面白くなくなっているような。。。おそらく気のせいじゃないと思う。)
ウエストレベルファインダーを開いた状態
で、、、2019年3月、古い PENTAX 機でいつもお世話になっている高松のヒガサカメラサービスさんから「状態の良い IIB が見つかりましたよ」との連絡を受け購入することに。もちろん本職であるヒガサカメラさんのところでレンズボディ共にオーバーホールされているので、最初から安心して使うことができます。いま届くのを待っているところだけれど、とても楽しみだなぁ。 あの Asahiflex IIB ですから!
(2019/03/19)届いた!包みを開けた瞬間、整備されたカメラの良い香りがふわり。取り出して手のひらに収めてみると、思った以上にコンパクトなことに気付く。うーむ、きれいな筐体だなぁ。もちろん細かい傷はあるが70年近く前のものとは思えないほど状態がよい。(いつもありがとうございます > ヒガサカメラさん)
カチャカチャと動作を確認してみる。ふむふむ、ここがこう動くのか。ウエストレベルファインダーを覗き込んでみたり。うーん、時代を感じるなぁ。。。当時の底面ケースが付いていたけれどかなり傷んでいる(革紐も危うい)のでひとまず取り外している。持ち出し時のストラップや入れ物をどうしようか思案中。歴史的遺産という側面ももちろんあるけど、 カメラは使ってなんぼのものですから、フィルムを入れて使いますよ〜。(NEOPAN ACROS を用意済み ;-p)
それにしてもこの Asahiflex 、どういった方が使われていたのかなぁ。痛みが少ないけれど、底面に三脚に取り付けた傷が残っているところから、やはり学校関係者かなぁ。当時、植物の接写や標本作成の複写など学術用途で使う教職員が多かったという雑誌記事(たぶん「ペンタックスのすべて」)を読んだ覚えがあるので。そういったところも、Asahiflex に親近感が湧く理由なのかもしれない。
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References:[C. K. S. Minolta35 II] [Camera] [Film Camera]